【1月9日 AFP】チェス盤の上で駒を動かしたかと思えば、対戦相手のためにコーヒーを入れる――こんな器用なロボットが、米ラスベガス(Las Vegas)で開催中の世界最大級の家電・IT(情報技術)見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で展示されている。

 台湾の工業技術研究院(ITRI)が開発したこのロボットは、「視覚知能システム」を搭載。周囲の環境を認識して行動でき、その精度は一般的なロボットをはるかに上回るという。

 視覚機能が強化されているため、サービス業や製造業など多様な分野の仕事に対応が可能だ。人工知能(AI)を備えており、仕事内容を学習していくこともできる。この技術を活用したロボットなら、一般家庭での食卓の準備・片付けや、高齢者・障害者が食事の支度をする際の手伝いもできるようになる。

 CES会場では人間とチェスで対戦する実演が行われているが、このロボットにとっては視覚知能の鋭敏さをアピールする「趣味の一つ」にすぎないのだそうだ。チェスの駒を1つずつ区別して認識し、器用に駒をつまんで動かしたり、対戦相手が適当に置いたカップの場所をちゃんと把握してコーヒーを注いだり、といった実力を披露してみせている。

 ITRIの担当者によると、商品化は予定していないが、投資や提携を通じてサービス分野や工業分野でこのロボットを「就職」させることは可能だという。(c)AFP