【1月7日 AFP】カナダ当局は、昨年11月の米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利した後、同氏の選挙スローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大な国に)」という文字が入った帽子を法廷内でかぶったオンタリオ(Ontario)州の判事を停職処分とした。地元メディアが6日、報じた。

 地元紙ハミルトン・スペクテーター(Hamilton Spectator)によると、同州のベルント・ゼーベル(Bernd Zabel)判事は裁判長を務めるはずだった昨年12月21日の法廷で、任命を取り消された。この決定は、ゼーベル判事がトランプ米次期大統領を声高に支援しているとする一連の苦情を裁判所が受けたためだという。公職上、判事は政治的に中立な立場を保つことを義務付けられている。

 1990年に判事に任命されたゼーベル氏は、昨年11月8日の米大統領選の翌日、オンタリオ湖(Lake Ontario)に面した港湾都市ハミルトン(Hamilton)の法廷に、トランプ氏の選挙運動のトレードマークだった赤い帽子をかぶって入廷した。

 別の地元紙トロントスター(Toronto Star)によれば、この行動についてゼーベル氏は、トランプ氏のライバルだった米民主党候補「ヒラリー(・クリントン氏)に投票した」同僚たちからの批判に対抗したものだと釈明し「あそこでトランプ支持者は私だけだったが、まあ構わない」と述べた。

 さらに後にゼーベル氏は「歴史的瞬間を法廷でのユーモアで記念しようとした試み」は「誤まった判断だった」と述べて謝罪した。(c)AFP