【1月6日 AFP】米国のジェームズ・クラッパー(James Clapper)国家情報長官ら情報機関の代表者3人は5日、上院の公聴会で証言し、ロシアが米大統領選の妨害を狙い前例のない工作を施したことを強く示す証拠があると強調した。情報機関が導いた結論を受け入れようとしないドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領に対し、断固たる態度を突き付けた格好だ。

 6日には4つの情報機関がトランプ氏に対し、昨年の大統領選のロシアの介入に関する見解を説明することになっている。これに先立つ5日に開かれた上院軍事委員会の公聴会では、クラッパー長官に加え、国家安全保障局(NSA)のマイケル・ロジャーズ(Michael Rogers)局長、マーセル・レター(Marcel Lettre)情報担当国防次官が証言した。

 クラッパー長官は、これまでに入手した証拠について「非常に大きな」自信があると断言。「ロシアには、自国・他国を問わず、選挙に介入してきた長い歴史がある」「だが今回見られたような、選挙プロセスに介入する直接的な活動が見つかったのは前例がない」と述べた。

 さらに、「これは多方面に及ぶ活動だった。よってハッキングはほんの一部にすぎず、常とう手段のプロパガンダやデマ、虚偽報道なども併用された」と言明。3氏は同委員会に対し連名で出した声明で、同作戦を許可することができたのは「ロシアの最上位の高官らのみ」だと指摘している。

 昨年の大統領選では、ハッカーらが盗みだした民主党のファイルや電子メールが、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」を通じて拡散。同党の面目をつぶすとともに、同党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の選挙戦に損害を与えた。

 クラッパー長官は、「ロシアは明らかに、サイバースパイ作戦を強化し、これらの作戦で盗んだデータを流出させ、重要なインフラシステムを標的にすることによって、ますます攻撃的なサイバー攻撃態勢を敷いている」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY