【12月29日 AFP】南米ベネズエラで、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が100ボリバル札の流通停止を発表したことで国内に混乱が広がる中、新たな硬貨の流通が28日、始まった。ただ、国民が待ち望んでいる新紙幣はいまだ届いておらず、お粗末な通貨改革による混乱は長引いている。

 マドゥロ大統領は以前、世界最悪レベルとも言われるインフレ対策のため、新たな紙幣と硬貨を発行する大規模なデノミネーション(通貨切り下げ)を発表。しかし2週間前、新紙幣が届く前に100ボリバル札の流通を同大統領がストップさせようとしたことで、国民は食料やクリスマスのプレゼントを購入するための現金にも不足し、暴動や略奪が発生した。

 ただ、新しい通貨の導入予定日の10日後になって、ようやく新硬貨が一部の露店に出回った。ただ、中央銀行は新しい500ボリバル相当の紙幣も届き始めたとしているが、店主たちはまだ誰も目にしていないと話した。

 国民が100ボリバル札の束を持ち運ばなければならない現状を改善するため、政府は最終的に最高2万ボリバルの紙幣を発行する計画だ。

 国際通貨基金(IMF)の予測では、今年のベネズエラのインフレ率は475%に達する見通しで、ボリバルの価値は暴落している。(c)AFP