【12月24日 AFP】ドーピング問題で失墜した名誉の回復を目指すロシアは、2014年ソチ冬季五輪で採取された検体を改ざんしたとされる同国の28選手に対し、国際オリンピック委員会(IOC)が調査を開始したことを受け、新たな打撃に直面している。

 世界反ドーピング機関(WADA)が今月9日に公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書で、国家ぐるみの大規模なドーピングが指摘されたことについて、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が改めて疑惑を否定する一方で、IOCはソチ五輪に加え、2010年のバンクーバー冬季五輪と2012年のロンドン五輪に出場した同国の選手全員の検体についても、新たな検査を指示した。

 マクラーレン報告書によると、ロシアではあらゆる競技で1000人を超える選手が薬物違反を隠す目的で検体にコーヒーや塩を混ぜる不正行為に関与したとされており、IOCはこれを受け28選手の懲戒手続きを開始。ソチ五輪の違反者について具体的な選手名は明らかにされていないものの、国際スキー連盟(FIS)によれば、この中にはクロスカントリーの6選手が含まれているという。

 問題の28人の検体については現在、スイス・ローザンヌ(Lausanne)の反ドーピング機関で、禁止薬物に関する再分析が行われている。

 2008年の北京五輪、ロンドン五輪で採取された一部の検体を再検査した結果を受けて、すでに27人のロシア選手を処分しているIOCは、バンクーバー五輪に出場した同国の選手全員の検体についても、再検査することを明らかにした。

 IOCの発表に先立ち、プーチン大統領は23日に行われた年末の記者会見で、政府の関与を改めて否定しており、「ロシアでは、そのようなことは絶対にあり得ず、単純に不可能なことだ。国家ぐるみでドーピングを支援するようなことが決して起きないように、われわれは全力を尽くしていく」と宣言した。

「ほかの国と同様に、わが国はドーピング問題に直面しており、そのことを認識しなければならない。しっかり認識しながら、ドーピングをなくしていくために全力を尽くしていく(必要がある)。その目標にたどりつくために、われわれはIOCをはじめ、WADAやそのほかの国際組織と緊密に連携していかなければならず、そうするつもりだ」

 プーチン大統領はまた、「われわれはスポーツも文化も政治と切り離していく必要がある。なぜならば、スポーツと文化は人々を団結させるものであり、分裂させるものではないからだ」とつけ加えた。(c)AFP