【12月16日 AFP】オーストリア北部オーバーエスタライヒ(Oberösterreich)州のヨゼフ・ピューリンガー(Josef Puehringer)知事は15日、同州ブラウナウ・アム・イン(Braunau am Inn)にあるナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の生家について、当初予定していた取り壊しは行わず、改修して社会福祉施設として使用すると明らかにした。

 ピューリンガー知事はこの日、ヒトラーの生家の取り扱いについて連邦政府のウォルフガング・ソボトカ(Wolfgang Sobotka)内相、ブラウナウ・アム・インのヨハネス・ワイドバッヒャー(Johannes Waidbacher)町長と協議。それを踏まえて「取り壊さないことを決めた」と発表した。

 決定については「これまで通り社会的に利用することこそが生を肯定するメッセージとなり、国家社会主義(ナチス)の犠牲者に敬意を表するもの、ヒトラーの犯罪に反対する明確なシンボルにもなる」と説明した。

 オーストリア議会は14日、ヒトラーの生家がネオナチ(Neo-Nazi)の聖地になることを阻止するため、生家を強制収容する法律を賛成多数で可決していた。

 政府は1972年からこの建物を家主から借り上げているが、強制収容に伴い家主には補償が支払われることになる。補償額は明らかになっていない。

 ソボトカ内相は10月、専門家委員会からの助言を受け、生家を取り壊した上で新しい建物を建て、慈善団体が使用する方針を示していた。(c)AFP