【11月30日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で自身初の総合優勝を果たしたメルセデスAMG(Mercedes AMG)のニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)が29日、最終戦のアブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2016)でチームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が取った戦術に理解を示し、大きく取り上げるようなことではないと語った。

 自身が優勝し、ロズベルグが表彰台を逃せば連覇が決まるというアブダビGP決勝で、ハミルトンはロズベルグをブロックしながらわざと速度を落とし、後ろの2台にロズベルグを追い抜かせようと画策しているように見えた。スピードを上げろというチームオーダーを無視してまで敢行した作戦は奏功しなかったものの、このきわどいやり方はチーム関係者とロズベルグを大いに悩ませた。

 しかし、マレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)で行われた記者会見に出席したロズベルグは、「もちろん、チームの言い分は完全に理解できる。これまで3年間、チームの指針にしたがってやってきたわけだからね。だけど同時に、ルイスの行動も理解できる。僕らドライバーは、最後の1メートルまで争うものだ」とコメントした。

「あのレースには総合優勝がかかっていた。だから彼はあの場でできることをすべてやろうと決めた。ある意味では理解できることだ。すごくキツかったけどね。それがすべてだよ。大げさに話し合う必要があることだとは思わない」

 ハミルトンがスローダウンし、難しい状況を作り出すなかで、ロズベルグは途方もないプレッシャーのかかる神経戦を乗り切り、F1史上最多となる計21戦が行われたシーズンに初戴冠を果たした。

 一方、ハミルトンはアブダビGPを制して全ドライバー中最多となる今季10勝目、キャリア通算53勝目を挙げたものの、ロズベルグが2位を守ったため、年間チャンピオンのタイトルを明け渡すことになった。

 ロズベルグとともに会見に出席したチーム責任者のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)氏は、ハミルトンの話題や、彼に処分を下す可能性については詳しく語らなかった。

「ルイスがなぜあのようなレースを展開したのかは理解できる。あれは彼の本能だった。そうせずにはいられなかった。その一方で、われわれのシステムがあったからこそ、二人はこれだけ多くのレースで勝ち、チームは一時代を築くことができた」

 続けてヴォルフ氏は「その話はまた今度にしよう。きょうのこの場は、この男のためだけにある」と話し、横に座っていたロズベルグを指した。

 ヴォルフ氏とロズベルグは、マレーシアGP(Malaysian Grand Prix)の冠スポンサーで、メルセデスの支援も行っているマレーシアの国営石油大手ペトロナス(Petronas)の行事に参加するため、クアラルンプールを訪れた。

 マレーシアGPは、収入減を理由にレース開催を2018年で打ち切ることを発表し、アジア有数の伝統のレースの歴史にチェッカーフラッグが振られることが決まっている。

 ロズベルグは「ここではいつも、素晴らしい走り、素晴らしいレースが展開されてきた。マレーシアGPがこの国に果たした役割はとても大きいと確信している。F1レースがあったおかげで、この国やこの国のビジネス、いろんなことに対して、世界中から注目が集まった」と話した。

「なんにせよ、少なくともあと2年間をとにかく楽しもうじゃないか。その後のことは、それから考えればいい」

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