【11月21日 AFP】男子テニス、ATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2016)は20日、8日目が行われ、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)がノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を下して年間王者に輝き、自身の夢のようなシーズンに完璧な形で幕を下ろした。

 今季は、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)と五輪で自身2度目のタイトルを獲得するなど、素晴らしい時間を過ごしたマレーは、「一年をこのようにして終えるのは、考えうる最高の形だ。世界1位でフィニッシュするにも大きな試合だった。過去に良い成績を残せていないメジャー大会だったし、素晴らしい一週間になった」と喜びを明かした。

「キャリアを通して最大のライバルであろう選手(ジョコビッチ)を相手にした大きな、大きな試合だった。すべての四大大会(グランドスラム)決勝や五輪でも戦ってきたが、これは年間王者を決めるものだった。間違いなくビッグマッチだったし、私にとっては非常に重要な一勝となった」

 大会史上最長の3時間39分を要したミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)戦から、わずか24時間で試合に臨んだものの、コート上では目を疑うほどフレッシュな姿を見せたマレーは、長期戦を避けて先行できたことが明暗を分けたと明かす。

「疲労は感じた。今朝はだるかったし、脚が重く感じるなど、調子がすぐれなかった。ありがたいことに、僕たちの試合では奇妙だけど、最初の7ゲームではラリー戦が全くなかった。自分の脚が感じるほどの長いラリーが増え始めたのは、第2セット中盤以降からだった」

「だからこそ、試合を締めくくるのが難しくなった。なぜなら、ゲームが長引くほど自分の状態は悪くなるし、たぶん彼も良いプレーをしてくると分かっていたから」

 

■「尊敬の気持ち」

 今年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)や全仏オープン(French Open 2016)決勝を含め、ジョコビッチとの直近15戦でわずか2勝しか挙げていなかったマレーは、長年のライバルからの白星は格別だという。

「一選手として、彼(ジョコビッチ)が成し遂げてきたものに対しては、非常に大きな尊敬の気持ちがある。過去数年間、多くの敗戦をしてきたマッチアップだ。大きな試合だったが、何とか一線を越えることができた」

「2セットで終えられたのはラッキーだった。ノバクにとっては、ベストな試合だったとは思わないが、僕は必要なときに安定していた」

 一方、この日は30本のアンフォーストエラーを重ねるなど消化不良気味に終わったジョコビッチは、「バックハンド側から多くの凡ミスを犯し、非常に悪いプレーだった。今日は私の日ではなかった」と自身のプレーがベストからは遠かったと認める一方で、マレーへの称賛の言葉も忘れなかった。

「精神的にタフな状態でいて、正しいショットを放ち、すべてのラリーで私に余分な球を打たせたアンディに称賛を贈る。特に昨日はとても長い試合をこなし、皆は彼が少し疲れているだろうと考えていたが、そんな風には見えなかった」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS