■プレインカ時代の犬についても手掛かりに?

 動物園の敷地内からは2001年以降、134体の人骨と138体の犬の骨が見つかっている。園内には、神聖なものを指す言葉で「ワカ」と呼ばれる遺跡がいくつも見つかっているが、レンガで作られたこれらの遺跡は、宗教的な儀式や葬儀に使われていたと考えられている。

 カリオン氏の話では、園内に54あるワカの内部の解明は始まったばかりで、直近では9月に10体の犬の骨と2体のテンジクネズミの骨、そして1体の人骨が納められるのが確認されたという。

 また、これまで発見された犬は同一種とみられ、すべての個体は毛が短く、背中に黒い模様のあるという。推定体重は7~20キロ。初期調査では、これらの犬が殺されたのは約1000年前と推定された。

 南米のペットの起源を研究している科学者らにとっても、これらの骨は貴重だ。プレインカ時代の犬がどこからやってきて、なぜペットとして飼われるようになったのかを解明する手掛かりにもなり得るからだ。

 ペルー原産の犬として最もよく知られているペルービアン・ヘアレス・ドッグは、インカ帝国の陶器のモチーフとして使われていた。現存する黒くて毛のないこの犬種は西暦300年ごろに現れたと考えられており、2001年にはペルー国家遺産にも登録された。

 1993年には南部モケグア(Moquegua)で、複数の人骨のそばに100匹の犬のミイラが埋葬されているのが見つかっている。これらの犬は、今日のゴールデンレトリバーに似ているが、脚が短くごわごわした尻尾を持っていたと考えられている。(c)AFP/Roberto CORTIJO