■置かれた立場

 昨年9月にドイツ入りして以来、ムスタファさんの生活は安定し、生まれて初めて学校にも通い始めた。友人もでき、車いすバスケットボールも始めた。

 しかし同時期、移民に対する社会の空気にも変化があった。昨年だけで新たに同国入りした移民90万人の受け入れに関する懸念が広がる中、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は自身が掲げた門戸開放政策をめぐって圧力を受けている。

 ムスタファさんは、「一部の人が脅威を感じるのは理解できる。でも私たちの国や地域が怖いと思われるのはつらい。(私たち難民は)置かれた立場を理解し、ドイツの文化や生活様式を尊重しなくてはいけない。ここに居候させてもらっている以上、好印象を与えなくてはいけない」と話した。

 もしメルケル首相にメッセージを送ることができるなら、ムスタファさんはこう伝えたいという。「私たちはこの(門戸開放)政策が最終的には良い結果をもたらすのだと全世界に示したいと思います。そうすれば首相は自信を持って『ほら、私は正しかった』と言えるはずですから」 (c)AFP/Michelle FITZPATRIC