【10月29日 AFP】欧州連合(EU)加盟国は28日夜、長年にわたった交渉がベルギーの地域議会によって水の泡となる恐れが出ていた騒動が解決し調印への障害が取り除かれたことを受け、カナダとの包括的経済貿易協定(CETA)を承認した。

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)はツイッター(Twitter)で「任務を達成した!」とつぶやき、30日にベルギー・ブリュッセル(Brussels)で行われるカナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相とのサミットでCETAに調印できる見込みだと発表した。

 カナダ・EU間の関税の99%を撤廃し、人口5億人のEU単一市場と世界10位のカナダ経済を結び付けるCETAはEUの交渉史上最も意欲的な取り決めだが、ベルギー南部ワロン(Wallonia)地域などの同国仏語圏が地元の利益を損なう恐れがあると抗議したことを受けて、その行方は数日前まで風前のともしびとなっていた。

 CETA調印にはEU加盟28か国すべての支持を得る必要があるが、使用言語ごとにいくつかの地域に分かれているベルギーの複雑な政治制度の下で連邦政府が正式に承認するには、まず地域議会など7つの議会が協定に署名する権限を連邦政府に与えなければならないことになっている。つまりワロン地域をはじめとする地域の抵抗は、CETA調印を事実上不可能とするものだった。

 ベルギーのシャルル・ミシェル(Charles Michel)首相は抵抗する地域を長い時間をかけて説得し、ついに27日、双方が合意に達したと発表していた。(c)AFP/Clément ZAMPA