【10月25日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のマレーシアGP(Malaysian Grand Prix)が、同国にとって経済的メリットがなくなっていることを理由に、契約満了を迎える2018年をもって撤退する可能性が出てきた。同GPの主催者や同国スポーツ相が24日、明かした。

 今週末にマレーシアGPの将来について会合を開くことになっている関係者は、高額の開催費用に加え、チケット売り上げの減少とテレビ視聴率の低下を懸念しており、同レースを主催するセパン・インターナショナル・サーキット(Sepang International Circuit)のラズラン・ラザーリ(Razlan Razali)最高責任者(CEO)は、AFPの取材に対して、「地元の人々は、F1の観戦チケットを買おうとしていない。経済的なメリットがなければ、レースを続ける必要はない。中断する方が得策だ」とコメントした。

 ラザーリ氏はまた、巨大な同サーキットは12万人収容できるにもかかわらず、今年の観客動員数は4万5000人にとどまり、レース当日の視聴率も振るわなかったと明かすと、F1を主催することは「膨大な費用がかかり、数百万ドルにも上る」と続けた。

 一方、カイリー・ジャマルディン(Khairy Jamaluddin)青年・スポーツ相もツイッター(Twitter)で、マレーシア以外の会場でレースを開催することはリスクがあり、観戦に訪れる外国人観光客の人数も減少傾向にあるとつづっている。

「最初にF1を開催したときは大盛況だった。日本以外ではアジア初開催だったが、今では多くの国で行われている。もはや先行者利益はないし、目新しさもない。観戦チケットの売り上げも、テレビ視聴率も下がっている。シンガポールを筆頭に中国や中東でも開催されているので、レースを観戦しに訪れる外国人観光客も減っている。見返りは大きくない」

「少なくとも当面の間は、F1の開催を中止するべきだと考えている。コストは高すぎるのに、見返りは限られている」

 マレーシアGPは1999年に初開催され、アジア地域では最も伝統あるレースの一つとなっている。マレーシアでは現在、レースのタイトルスポンサーであり、総合争いでトップに立つメルセデスAMG(Mercedes AMG)を支援している同国の石油大手ペトロナス(Petronas)が、変動しやすい石油価格の影響で経済的打撃を受けており、それ以外の製品でも、同国の成長見通しの妨げとなっている。(c)AFP