【10月15日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督は14日、リバプール(Liverpool FC)戦に向けた記者会見に臨み、両クラブのサポーターに対して相手チームに起きた悲劇をののしり合うような行為は慎むよう求めた。

 両クラブはサポーターに向けて共同声明を発表し、1989年にシェフィールド(Sheffield)のヒルズボロ・スタジアム(Hillsborough stadium)で開催されたFAカップ(FA Cup)準決勝で96人のファンが死亡した「ヒルズボロの悲劇(Hillsborough Disaster)」や、ユナイテッドの選手を含め23人が亡くなった1958年の飛行機事故を連想する挑発行為をやめるよう求めている。

 ユナイテッドの指揮官としてリバプールと対戦するのは今回が初めてとなるモウリーニョ監督もこれに同調し、17日に敵地アンフィールド(Anfield)で行われる試合では、サポーターに対して度を超えた応援をしないよう求めた。

「サッカーにはさまざまな悲劇がある。ビッグマッチで敗れたとき、選手が犯したミスをおかしたとき、そういうものはある程度は笑いものにしてもらってもかまわない」

「しかし、人が起こした悲劇はより深刻に捉えなければならない。私はそのような行為は過去のものになったと思いたい。なぜならば、それは本当に大きな悲劇なのだから。このような大きな試合で、ネガティブなことが起きれば本当に悲しい」

 チェルシー(Chelsea)を指揮していた当時からリバプールと激しい敵対関係にあったモウリーニョ監督は、試合に際しその言動で多くの注目を集め、たびたび論争を引き起こしてきた。

 17日の試合が今季の運命を左右するような試合にはならないとの見解を示すモウリーニョ監督だが、だからと言ってリバプールを過小評価しているわけではないとしている。リバプールは現在勝ち点16で4位に、ユナイテッドは同13で6位につけている。

「私は長い間イングランドにいる。この試合は初めてだが、リバプールともマンチェスター・ユナイテッドとも何度も対戦してきた。お互いの特性は理解しているし、両クラブの歴史的なライバル関係もよりよく理解できている」

「だが私にとってシーズンとはアンフィールドでの試合や、来年1月にオールド・トラフォード(Old Trafford)で行われる(リバプールとの)試合ではない。シーズンとは数多くの試合であり、勝って多くのポイントを得て、負けて多くのポイントを失うというものだ」

「もちろん、試合は楽しみにしている。アンフィールドでの試合はいつも楽しい。そこではたくさん勝ってきたが、同時に負けてもいる。ビッグマッチで勝ったこともあるし、負けたこともある。常に成功してきたのでそこに行くのが好きだなどとは言えない。なぜなら、それはうそだからだ」

「雰囲気もそこでの試合も好きだが、マンチェスター・ユナイテッドの指揮官であるということはもっと多くの意味を持つ。ユナイテッドとリバプールの歴史的なライバル関係を、以前のクラブと比較することは不可能だ。レアル・マドリード(Real Madrid)対FCバルセロナ(FC Barcelona)、FCポルト(FC Porto)対ベンフィカ(Benfica)のような試合であれば比べられるだろう」

(c)AFP/Ian WHITTELL