【10月11日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、今週開催の上海マスターズ(2016 Shanghai Rolex Masters)で故障からの実戦復帰を果たす。アンディ・マレー(Andy Murray、英国)に世界ランキング1位の座を脅かされている絶対王者ジョコビッチには、本来の調子とモチベーションが取り戻せるかに注目が集まっている。

 四大大会(グランドスラム)通算12勝を誇る大会第1シードのジョコビッチは、中国では無類の強さを誇っており、前回大会では通算3回目のタイトルを獲得すると、シーズン終盤までテニス史上に残る強さを示した。

 しかし、今年6月に全仏オープン(French Open 2016)を制して生涯グランドスラムを達成して以降、ジョコビッチはテニスへの情熱を失ったことを認めており、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)で3回戦敗退を喫すると、リオデジャネイロ五輪では涙の初戦敗退に終わり、全米オープン(US Open Tennis Championships 2016)決勝では苦手のスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)に屈していた。

「個人的な事情」でモナコのモンテカルロ(Monte Carlo)から故郷ベオグラード(Belgrade)に転居したジョコビッチは、気持ちの面であまり優れかったと明かし、「ナンバーワンの地位や、トーナメント、グランドスラムで勝つことについては考えたくないし、話したくもない」と報道陣にコメントしていた。

 全米オープンで手首の故障を悪化させ、過去6回出場して一度も負けたことがない中国オープン(China Open 2016)を欠場したジョコビッチは、9日の決勝で同大会のタイトルを獲得したばかりのマレーが迫ってきており、早急に本来の調子を取り戻す必要がある。

■「まったく当然のこと」

 中国オープンの決勝でグリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)を6-4、7-6(7-2)で退けたマレーは、通算2度目の優勝を飾ったウィンブルドンを含めて今季5勝を記録しているほか、リオ五輪の男子シングルスでも史上初の2連覇を達成した。

 第2シードとして上海マスターズに出場する29歳のマレーは、自分と同年齢で10代の頃から練習をともにしていたジョコビッチがモチベーションを失ったことについて、「まったく当然のこと」と共感しており、「多くの選手が経験していることで、いろいろな段階で起こり得る」という見解を示している。

「長期間にわたって目指し、たくさんの努力と情熱を注ぎながら、惜しいところで何度も逃してきた目標を成し遂げた時は、しばらく何日かは夢見心地になるものだ。だから、その後に一度落ちてしまうことだってあり得るし、そういった感情はまったく当然のものだ。自分のキャリアで大きな勝利を手にした多くの選手が、いろいろな局面で経験してきたことであり、ごく普通のことだと思う」

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