【10月8日 AFP】オランダ北西部ホールン(Hoorn)のウエストフリース美術館(Westfries Museum)から2005年に盗まれ、ウクライナで見つかった5点の絵画が7日、同美術館に返還され、街は喜びに沸いた。

 この美術館のアド・へ―ルディンク(Ad Geerdink)館長は、17世紀と18世紀に描かれた絵画がトラックから降ろされると、集まった数百人の市民を前に「4320日ぶりに……そう、私たちは(絵画が盗まれてからの)日数を数えていたんです……絵画が戻ってきました!」と話した。

 2005年1月9日、同美術館からオランダの黄金時代を象徴する傑作絵画24点、およぼ銀食器70点が盗まれた。絵画24点は当時の相場で総額1000万ユーロ(約11億5000万円)の価値があるとされた。

 返還された絵画の一つで、約3万ユーロ(約350万円)相当とされるイサーク・アウワーテル(Isaak Ouwater)の1784年の作品「Nieuwstraat in Hoorn」は今年5月、ウクライナの美術商から返還された。しかしこの絵画が美術商の手に渡るまでの経緯は明らかになっていない。

 ほかの絵画4点、ヘンドリック・ボガルト(Hendrick Boogaert)の「A Peasant Wedding」、フローリス・ファン・スホーテン(Floris van Schooten)の「Kitchen Scene」、ヤコブ・ワベン(Jacob Waben)の「Return of Jephta」と「Lady World」もウクライナで発見された。

 同美術館は一連の絵画の修復資金を募るためのクラウドファンディングキャンペーンに乗り出した。美術館の広報担当者によると、絵画はこの10年余りで「かなり損傷しており、ひどい状態」だという。

 残る絵画19点と銀食器の捜索活動は引き続き行われている。(c)AFP/Jan HENNOP