【9月22日 AFP】南米ペルーで10日に発生した森林火災により、広大な範囲のアマゾン熱帯雨林が破壊され、先住民と野生生物が危機にさらされている。当局が明らかにした。火災の原因は、伝統的な焼き畑農業だという。

 災害対応機関のペルー国家防災庁(National Civil Defense Institute)によると、森林火災はペルーのアマゾン地域にある、ピツィキア(Pitsiquia)と呼ばれる先住民の集落で発生。同庁は、中部フニン(Junin)県ではこれまでに、米ニューヨーク(New York)州マンハッタン(Manhattan)島の面積の3倍以上に匹敵する1万9000ヘクタールあまりに及ぶ森林と、農地200ヘクタールが延焼したことを明らかにし、「森林火災はまだ、鎮火に至っていない」との声明を出した。

 地方保健当局によると、一部住民らは目の不調を訴えているとされる。煙が原因とみられる。

 森林火災は、アプリマック、エネ、マンタロ川渓谷(VRAEM)として知られる、都市部から極めて遠く離れた辺境地域を延焼している。VRAEM地域は、周囲から隔絶された環境、密集した熱帯雨林、コーヒーやカカオなどの熱帯作物、そして国内最大のコカ生産地として知られている。コカは、コカインの材料だ。

 今回の火災で関係当局は、外部との接触が限られた先住民の集落がある広範な保護区における混乱、さらには近隣のオティシ国立公園(Otishi National Park)への延焼拡大について懸念している。この保護区では、10集落の先住民約5000人が暮らしている。

 当局によると、一帯は干ばつによる乾燥で火災が起きやすくなっていたとされる。直接の出火原因は地元農民による焼き畑だ。

 国立公園局のアドバイザー、マルコ・パストール(Marco Pastor)氏は、「この農法は、手の付けられない事態を引き起こす恐れがある」と語り、現在、火災の監視と損害の評価を行うために、新たに打ち上げられたペルーの人工衛星「PeruSAT-1」が使用されていると説明した。(c)AFP