■歴代大統領を悩ませた健康問題

 米国では前世期、より深刻な病気と闘いながら選挙運動を行った大統領候補が多数存在した。

 1960年に出馬したジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領は、副腎の機能が低下し、ステロイドホルモンを十分に分泌することのできなくなるアジソン病を患っていた。しかしケネディ陣営は、これのみならず、一切の医療記録の公表を行わなかった。

 フランクリン・ルーズベルト(Franklin Roosevelt)元大統領も同様に健康に不安を抱えていた。大統領就任の12年前にあたる1921年にポリオと診断されていたのだ。病気であることは周囲に知られていたが、車椅子に座った同氏を報道陣が撮影しないよう同陣営は細心の注意を払った。だが4選に向けた大統領選の最中に病状が悪化。再選は果たしたが、その5か月後に病に倒れ、死去した。

 他方で、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の陣営をめぐっては、2000年の共和党予備選最中に、マケイン氏がベトナム戦争で捕虜にとられたことから、精神面でのバランスが崩れたとのうわさを広めたと言われている。

 それから8年後、2度目の大統領選に臨んだマケイン氏は、皮膚がんを患っているとの懸念が浮上したため、1000ページを超える医療記録の公表に迫られた。

 一方で、在任中に健康上の問題に苦しめられた大統領もいる。

 ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)大統領は1992年1月、日本の首相との会食中に嘔吐(おうと)し、そのまま気を失った。しかし、このことは同氏の健康状態に対する懸念を強めたというよりも、軽い笑い話のタネとして扱われた。

 息子のジョージ・W・ブッシュ前大統領も2002年、テレビを見ている時にプレッツェルを喉に詰まらせ短時間気を失っている。

 レーガン大統領は、1985年に結腸のポリープ摘出手術を受けたほか、1987年には前立腺がんの手術も受けている。(c)AFP/Michael Mathes