【9月1日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が死亡を発表した報道担当者で戦略担当幹部のアブ・モハメド・アドナニ(Abu Mohamed al-Adnani)容疑者について、ロシアが空爆で殺害したと主張した。これに対し、米国防総省の当局者が「冗談だろう」と一蹴、別の米当局者も米国の無人機「プレデター(Predator)」による空爆で死亡したとするなど両国間で「戦果」を奪い合う異例の事態となっている。

 ロシア国防省は、露軍のスホイ34(Su-34)戦闘機が8月30日にシリア北部アレッポ(Aleppo)県のウムホシュ(Um Hosh)村付近を空爆し、アドナニ容疑者を含めて「最大40人」のIS戦闘員を殺害したと発表した。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支援するロシアは昨年来シリアで空爆を繰り返しているが、IS幹部の殺害を発表したのは初めてだった。

 これについて米国防総省の当局者は31日、匿名を条件にAFPの取材に答え「冗談もいいところだろう。ロシアがシリアで行っている軍事作戦の特徴がなければお笑い種だ」と述べた。

 アドナニ容疑者についてはISが30日、アレッポ県で軍事作戦を監督していた際に死亡したと発表。米側は有志連合がアレッポ県で実施した空爆の標的が同容疑者だったと明らかにしているが、国防総省は結果を精査中だとして殺害を確認していない。(c)AFP