【8月21日 AFP】北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は20日、17日に韓国に亡命したことが明らかになった北朝鮮のテ・ヨンホ(Thae Yong-Ho)駐英公使が犯罪者であるとし、尋問のため同国政府から帰国を命令されたと報道した。

 テ氏は、これまで北朝鮮から韓国に亡命した外交官のうち最も地位が高い人物の一人で、朝鮮半島で緊張が高まる中、韓国に格好の宣伝材料を与えた形となる。

 KCNAはテ氏を、国家資金を使い込み、未成年をレイプし、韓国のスパイとして活動し報酬を受け取っていた「人間のくず」と評した。しかし、報道ではテ氏の名前を出さず「ロンドン(London)での公務から逃亡した外交官」とだけ伝えているが、テ氏のことを指しているとみられる。

 海外任務に就く北朝鮮外交官の場合、誰が亡命しても衝撃的なことだが、同国外交官にとって英首都ロンドンに駐在することは特に名誉ある任務であることから、テ氏の亡命はまったく別のレベルの出来事だったと言える。

 KCNAは、テ氏と彼の家族を韓国側に引き渡した英国政府を非難し、北朝鮮政府はテ氏の亡命前、テ氏の犯罪について英国政府側に伝達しており、身柄の引渡しを要求していたと報道した。

 今回の報道は、極めてまれな高位の外交官亡命により、外交上の恥をかかされたといえる北朝鮮が初めて公にした反応となる。

 韓国政府は17日、テ氏の亡命は、北朝鮮政府のエリート官僚が金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)体制に信頼を失った証拠であると述べていた。

 韓国の統一省は同日の記者会見で、テ氏の亡命理由が、(北朝鮮の)金正恩体制に対する反感や韓国の自由で民主的な制度に対する感嘆、そして家族の将来に対する懸念であると語っていた。(c)AFP