【8月16日 AFP】国際パラリンピック委員会(IPC)フィリップ・クレーブン(Philip Craven)会長は15日、来月のリオデジャネイロ・パラリンピック開催に向けて状況は「不安定」であり、さらなる予算削減に直面していると明かした。

 リオ2016オリンピック・パラリンピック組織委員会(ROCOG)への臨時費用について、ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)市に裁判所から資金注入の差し止め命令が出ている中、クレーブン会長は、財務面の保証を取り付けるためにリオ市側と会談を持った。

 クレーブン会長は、「状況はかなり不安定だが、大会が開催されなくなる可能性、もしくは競技種目が縮小されるといううわさは、全くの事実無根で真実ではない」とすると、「仮に追加資金が投入されなければ、すでに国際オリンピック委員会(IOC)やリオ五輪とともに実行していることだが、パラリンピックではさらなる予算削減を行う必要がある」と述べた。

 組織委はこれまでも交通や食料のコストを削減して予算を維持しているが、クレーブン会長によれば、ROCOGは今月末までに各国の五輪組織委に定められた助成金を支払う義務があり、「仮に支払いができなければ、何年もかけて大会への計画と準備を進めてきた多くの国がパラリンピックに参加できなくなる」と警告した。

 リオのエドゥアルド・パエス(Eduardo Paes)市長はこの日、来月7日から18日まで開催されるパラリンピックのための臨時費用が裁判所に差し止められたことについて、法廷で争うことを約束。連邦裁判所は財務の不透明性を理由にROCOGへの公的資金の注入を禁じており、この件は上訴中となっている。

 パエス市長は、必要な場合の救済措置として4700万ドル(約47億円)をパラリンピックに支出する用意があると強調。クレーブン会長との会談後に行われた記者会見では、「もし大会が開催できなくなれば、ブラジルとパラリンピックスポーツ、並びに障害がある人々の名誉を傷つけることになる」と語った。

 リオの州当局は今年6月、開催中のリオデジャネイロ五輪に臨時費用を捻出するため「財政非常事態」を宣言している。

 しかしパエス会長はこの日、市の財政状況は安定していると改めて繰り返し、「3週間前に確認したところ、組織委員会のいくつかの口座では資金不足が判明した。必要ならばそれらの資金を保証できる」と明言。さらにパラリンピックについても、「この資金がどこに使われるかは明確である」と語った。

 リオ五輪とパラリンピックに割り当てられたリオ市の予算は、23億ドル(約2300億円)となっている。(c)AFP