【8月14日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は13日、ロシアの組織的なドーピングを内部告発したユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)のWADAの個人アカウントが、何者かによってハッキングされていたことを明かした。

 リオデジャネイロ五輪への出場がかなわず、米国で身を潜めて暮らしているステパノワは、ロシアの国家ぐるみのドーピング発覚において、その情報源として中心的な役割を果たした。

 WADAは、ステパノワのパスワードが「不正に入手され、彼女のアカウントへの侵入者のアクセスを許してしまった」と明かしている。

 アスリートたちは、WADAの薬物検査官が所在を確認できるよう、アカウントにその動向を報告する義務が課せられている。

 WADAは、「ステパノワ以外の誰かが彼女のアカウントにアクセスした」としている。

「WADAは、これ以上の不正アクセスを防ぐため、彼女のアカウントを即座にロックし、彼女には現状を知らせた」

 またWADAは、ほかの選手が個人情報をだまし取る「フィッシング」に引っかかっていないかをチェックしていると発表している。

「WADAからのものを装ったリンクをクリックし、個人の認証情報の入力を要求する不審な電子メールが複数の選手に届いていることが確認されている」

「データを保全するため、われわれは選手がそういった電子メールにリアクションしたか、していないかの検証を継続している」

 また、国際オリンピック委員会(IOC)の広報であるマーク・アダムス(Marc Adams)氏は、五輪期間中のハッカーからの攻撃が「著しく増加している」と語っている。

「われわれのセキュリティーを突破しようとする試みの数が尋常ではない。われわれのセキュリティーに侵入しようとする者から絶え間なく攻撃を受けている」

(c)AFP