【8月12日 AFP】カナダ警察は11日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に動画で忠誠を誓った後、タクシーの中で爆破装置を起爆させた男を射殺したと発表した。

 カナダ騎馬警察(RCMP)が記者会見で明らかにしたところによると、問題の動画を傍受した米連邦捜査局(FBI)から情報提供を受けたカナダ当局が、アーロン・ドライバー(Aaron Driver)容疑者(24)を10日に射殺した。

 RCMPのマイク・カバナ(Mike Cabana)副総監は、10日未明にFBIから情報提供を受け、その中には「その時点まで把握していなかったが、自家製爆弾を用いた攻撃準備の最終段階にあることが明らかになった個人によって用意された殉教ビデオ」の存在もあったと明かした。

 警察はこの情報に基づき、ある「都市の中心部」で「今後72時間以内に」攻撃が発生し得ることを確信したという。警察と対テロ専門家は間もなく、動画に登場する男がドライバー容疑者であると特定した。

 トロント(Toronto)では、1日に180万人が利用する交通網に対して「信じるに足るテロの脅威」があるという情報があったことから、鉄道やバス、自動車道の警備が強化されていた。

 RCMPによると、トロントの南西およそ220キロに位置するオンタリオ(Ontario)州ストラスロイ(Strathroy)にあるドライバー容疑者の自宅前で10日午後4時30分ごろ同容疑者を発見。ちょうど到着したタクシーの後部座席に乗り込んだところだったという。

 警察が近付くと、ドライバー容疑者はタクシー内で爆破装置を起爆させ、タクシー運転手が軽いけがをした。警察官らがその場で容疑者を射殺した。

 RCMP幹部は、「もしわれわれが到着する前に容疑者が自宅から立ち去っていたとすれば、事態は異なる形で終わっていたはずだ、私はそう確信している」と述べ、「ずっと多くの命が犠牲になった恐れがある」と指摘した。

 当局がドライバー容疑者に初めて着目したのは昨年6月。ソーシャルメディア上に過激な投稿しているという通報を受けて警察が同容疑者を逮捕したが、裁判所による監視を条件に釈放されていた。

 宗教指導者によるカウンセリングや監視用の電子ブレスレットの着用、インターネット使用禁止を命じられていたものの、これらの制限は徐々に緩和され、今月には完全に解除される予定だったという。(c)AFP