【8月11日 AFP】6人の息子に自分と同じ名前を授けたボクシングが好きでたまらない父親。五輪王者の一家という夢見た、父親の最後の希望となったゲーリー・ラッセル(Gary Russell)が10日、リオデジャネイロ五輪でデビューを果たした。

 この日行われたボクシング男子のライトウェルター級1回戦に臨んだラッセルは、ハイチのリチャードソン・イチンス(Richardson Hitchins)に判定勝ちを収めると、スタンドにいた父のゲーリー(Gary Russell Sr)さん、そして母親と抱き合った。

 父ゲーリーさんは、6人の息子全員をゲーリーと名付けた。そのうちの一人は、2008年の北京五輪に出場予定だったが、大会開幕前日に卒倒して試合に出場することができなかった。

 勝利を飾ったラッセルは柵を乗り越えて両親や親族の元へ駆け寄ったが、そこに兄弟たちの姿はなかった。

「久々に会ったんだ。彼らが僕の最高のサポーターさ」

「僕は遠征に出てて、家に2日いたらその後は2週間から4週間は帰ってこない。それでも、みんなはずっと応援してくれている」

 9000人が入る騒がしい会場内でも、これまでに4人の息子にボクシングを教えた父ゲーリーさんからのほえ立てるような指示は聞き分けることができたと、ラッセルは語る。

「誰も彼も意識の中に入れず、父の声を聞くことができるのさ」

(c)AFP