【8月11日 AFP】ロシア連邦保安局(FSB)は10日、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア(Crimea)でウクライナ側との銃撃戦があり、職員ら2人が死亡したと発表した。ウクライナ側はこれを強く否定しており、両国間の緊張が一段と高まる恐れが出ている。

 FSBは声明で、ウクライナの軍情報部門による「テロ攻撃」を未然に阻止し、武力攻撃を鎮圧したと説明した。6日から7日にかけての夜に「テロリスト」を拘束しようとした際に火器を用いた衝突が起き、職員1人が死亡。8日にもウクライナ国防省の「破壊テロリスト」と銃撃戦となり、ロシア軍の兵士1人が死亡したとしている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は「非常に憂慮すべき事態だ」と述べ、ウクライナはクリミア侵入を試みて「テロ」に手を染めたと非難した。

 こうしたロシア側の主張に対し、ウクライナ側は真っ向から反論している。ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は、ロシアの主張は「ばかげていて、恥知らずだ」と一蹴した。

 ウクライナの国家安全保障・国防会議のオレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)書記も「理性を失った全くのでたらめだ」と激しく反発し、ロシアがクリミアで恐怖をあおろうとしていると指弾した。

 クリミアをめぐっては、親露派のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)政権崩壊後の2014年3月にロシアが併合して以来、両国間で緊張が続いており、今回の問題によって状況がさらに悪化することが懸念される。(c)AFP/Max DELANY