【7月26日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は25日、デンバー・ブロンコス(Denver Broncos)などで活躍した元名QBのペイトン・マニング(Peyton Manning)氏が、運動能力向上剤を使用もしくは提供を受けていたとされる疑惑報道について、「確固たる証拠はない」と断定した。

 昨年12月に放送された米国向けのニュース専門局「アルジャジーラ・アメリカ(Al Jazeera America)」の番組では、2011年にマニング氏の自宅にヒト成長ホルモン(HGH)が送付されていた疑惑が報じられ、NFLはこの問題の調査に7か月を費やした。

 問題のきっかけとなったのは、マニング氏がインディアナポリス・コルツ(Indianapolis Colts)時代に14年間を過ごしたインディアナポリス(Indianapolis)にあるガイヤー研究所(The Guyer Institute of Molecular Medicine)の薬剤師だったチャールズ・スレイ(Charles Sly)氏という人物の証言だった。しかし、スレイ氏は後に自身の証言を撤回している。

 今年2月に行われた第50回スーパーボウル(Super Bowl 50)でブロンコスを優勝に導いたマニング氏は、疑惑に関する一連の報道に猛反発していた。昨年12月、米スポーツ専門チャンネルESPNの取材で疑惑報道について問われたマニング氏は、「腹が立つし、本当に頭にくる。吐き気がするというのが僕の気持ちだ」と答えると、「完全なるねつ造で、くず、ゴミだ」と怒りをあらわにしていた。

 NFLは同日、「広範な調査」になるとされたアルジャジーラ・アメリカの報道について、マニング側の勝訴と結論づけ、「HGHやリーグの方針で禁止されているほかの運動能力向上剤について、ペイトン・マニング氏が提供を受けたり使用したりしたという確固たる証拠はなかった」と説明すると、「マニング家は調査に対して全面的に協力的であり、調査官による聴取やあらゆる証拠の捜索にも応じてくれた」と明かした。

 NFLによる今回の調査は、リーグのセキュリティーおよび弁護団にコンサルタントなどの専門家が加わる形で実施され、「調査では証人への聴取、関連記録や資料の見直し、研究機関による分析と検証が行われた」とされている。

 リーグはまた、ほかの選手も関与していたとされるアルジャジーラ・アメリカの疑惑報道についても調査を継続しており、「別の情報筋や証言が寄せられているほかの選手に関する疑惑報道についても、リーグとして調査を続行している」と公表した。

 アルジャジーラ・アメリカの報道では、ほかにもピッツバーグ・スティーラーズ(Pittsburgh Steelers)のジェームズ・ハリソン(James Harrison)、グリーンベイ・パッカーズ(Green Bay Packers)のクレイ・マシューズ(Clay Matthews)とジュリアス・ペパーズ(Julius Peppers)、さらに現在フリーエージェント(FA)となっているマイク・ニール(Mike Neal)ら現役選手の名前が伝えられており、これらの選手に聴取を行おうとするNFLに対し、選手会は反発している。(c)AFP