【7月25日 AFP】タイの軍事政権が国家の危機を救うために行うと喧伝(けんでん)する、新憲法をめぐる国民投票を前に、100頭ほどのサルの集団が「選挙妨害」を働いた。

 タイでは8月7日に予定されている国民投票のための有権者名簿を、8歳の少女2人が破いたとして数日前に起訴されたばかり。今度は北部ピチット(Phichit)県で、サルの集団が有権者名簿を破いた。

 同県選挙管理委員会のプラユーン・チャクパチャラクル(Prayoon Chakpacharakul)委員長は「サルはいたずら好きな動物だから(名簿を)破いてしまった」とAFPに語った。

 ソーシャルメディア上ではこの出来事を、軍事政権の宿敵で亡命中のタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相に絡めるジョークが広まった。フェイスブック(Facebook)には、タクシン元首相がバナナを与えているサルたちが喜んで有権者名簿を破いている様子を描いた風刺漫画が投稿された。

 タイの軍政は国民投票を控え、手段を選ばずに反対派の押さえ込みにかかっている。特別法の下、新憲法草案を批判した場合には最長10年の禁錮刑を科される恐れがあり、一連の動きについて人権団体らは茶番だと非難している。また多くの人権活動家らはこの草案について、軍事政権による支配を強化する内容とみている。(c)AFP