【7月23日 AFP】男子陸上中長距離のモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)は22日、五輪金メダリストのウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)とジェシカ・エニス・ヒル(Jessica Ennis Hill、英国)らと同様に、来月開催されるリオデジャネイロ五輪にロシア陸上選手を出場禁止とする裁定を支持した。

 ソマリア出身で現在33歳のファラーは、復帰戦となるダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2016)第10戦のロンドン大会(The Muller Anniversary Games)を翌日に控え、2012年のロンドン五輪で5000メートルと1万メートルを制した思い出のスタジアムで会見に臨み、ドーピングしていないにもかかわらずリオ五輪の出場を禁止された選手に対して同情を示した。

 ファラーは「英国には厳しい規則が存在しており、ほかの国にも同じ規則を適用してほしい」と述べると、「ウサインや私をはじめ、選手全員が練習に励んでいるのに、こういう問題が話題の中心になってしまう。そんな状況は見たくないが、われわれは正しい行動をしなければならない」と語った。「私が望んでいるのは、クリーンな選手とフェアに競うことだ。国によってルールが違うなんて、何の意味もない」

 世界陸上(IAAF World Championships)で5000メートルと1万メートルの2冠を達成しているファラーはまた、ドイツ公共放送連盟(ARD)と英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)によって練習施設内でのドーピング疑惑を報じられたケニアの選手に同情した。

 ファラーは昨年、自身のコーチを務めていたアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏が、指導する選手に薬物を供給したと英国放送協会(BBC)のドキュメンタリー番組で報道された経験があることから、不正とは無関係なケニアとロシアの選手を気の毒に思うと話している。

 サラザール氏の疑惑報道では、同氏が不正行為を完全否定し、ファラーも名指しされてはいない。それでも、自身が師事するサラザール氏に対する疑惑の大きさから騒動に巻き込まれたファラーは、昨年のダイヤモンドリーグのロンドン大会は辞退を余儀なくされた。

「何もしておらず、一線を越えていない選手に同情する」と語ったファラーは、「良いことではない。無実であるにもかかわらず、昨年は私も地獄を経験した」と語った。(c)AFP