■石炭への依存

 インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の右派政権は、急成長を続ける国内経済の需要を満たすために、石炭生産量を2020年までに現在の倍となる年間10億トンに増やすことを目指している。

 2014年に権力の座についたモディ首相は、慢性化した停電を解決するだけでなく、電気を使わない生活を送っている3億人以上の国民に電力を届けるとの選挙公約を実現したいと考えている。

 石炭の埋蔵量で世界5位の規模を誇るインドでは、国内電力の6割をすでに石炭に依存している。

 モディ政権が、環境に負荷を掛ける企業に国立公園付近での操業を許可していることを受け、活動家らは環境規制が骨抜きにされていると同政権を非難している。また、その影響から、小規模の石炭採掘各社が国民の承認を得ずに生産量を50%拡大することが可能になっていることも指摘した。

 アムネスティの報告書は、2014年1月~2016年2月の期間に実施した、炭鉱開発の影響を受ける住民ら124人、政府当局者、コール・インディア代表者、地元ジャーナリスト、活動家、法律家などを対象とする聞き取り調査に基づくものだ。

 アムネスティによると、州当局と関係各企業に報告書を提出してコメントを求めたが、まだ回答は得られていないという。(c)AFP/Annie BANERJI