【7月12日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)、サンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)のスーパースターで、リーグを代表するフォワードのティム・ダンカン(Tim Duncan)が11日、現役引退を表明。通算5度のNBAファイナル制覇、15回のオールスター出場という輝かしい実績を持つダンカンは、惜しまれながらも19年に及ぶ現役生活に別れを告げた。

 現在40歳のダンカンは、1997年のNBAドラフトで全体1位指名されて以来、スパーズ一筋で過ごした生え抜きの選手で、入団から19年間欠かさずプレーオフ出場を果たすと、1999年と2003年、2005年、2007年、2014年にはチームをNBA王座に導き、レギュラーシーズンMVPに2回、NBAファイナルのMVPに3回も輝いている。

 スパーズは公式ツイッター(Twitter)で声明を発表し、「19シーズン、5つの優勝リング、1チームで。#ThankYouTD」と投稿した。現役引退の一報は、ハッシュタグを通じて一気に広まり、ダンカンの母校ウェイクフォレスト大学(Wake Forest University)は「唯一無二の存在、思い出をありがとう」とコメントし、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)も「大いなる敬意を」とツイートした。

 ダンカンはトニー・パーカー(Tony Parker)、エマニュエル・ジノビリ(Emanuel Ginobili)とともにNBA史上最も成功したトリオの一人で、スパーズによると、このトリオが挙げたレギュラーシーズン通算575勝、ポストシーズン126勝はともにリーグ最多記録となっている。

 歴代屈指のパワーフォワードとして広く知れ渡っているダンカンはまた、グレッグ・ポポビッチ(Gregg Popovich)ヘッドコーチ(HC)とともにスパーズの黄金時代を築き、2人で積み重ねた通算1001勝も、選手と指揮官のコンビとしてはリーグ最多記録とされている。

 通算で1試合平均19.0得点、10.8リバウンドの成績を残しているダンカンだが、2015-16シーズンは膝の故障に苦しみ、わずか61試合の出場にとどまった。現役最後の試合は、5月12日に行われたオクラホマシティ・サンダー(Oklahoma City Thunder)とのウエスタンカンファレンス準決勝第6戦で、スパーズは99-113で敗れた。この試合でダンカンは34分間出場し、19得点5リバウンドを記録している。

 選手がいくつかのチームを渡り歩くことは、NBAにおいては珍しいことではないが、ダンカンは違った。19年間も同じチーム一筋で在籍したのは、昨季限りで引退したロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)のコービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏、ユタ・ジャズ(Utah Jazz)で活躍したジョン・ストックトン(John Stockton)氏に並ぶ記録となっている。

 ダンカンは先月、自身が持っていた年俸640万ドル(約6億5000万円)のプレーヤーオプションを行使していたが、その一方で現役引退説が浮上していた。そのため、スパーズはダンカンの引退に備え、パワーフォワードとセンターの両方をこなせるスペイン代表のパウ・ガソル(Pau Gasol)と、2年総額3000万ドル(約30億円)の契約を結んでいた。(c)AFP/Greg Heakes