【7月11日 AFP】(記事更新)国際陸上競技連盟(IAAF)は10日、米国を活動拠点とするロシアの女子走り幅跳び選手、ダリア・クリシナ (Darya Klishina)について、リオデジャネイロ五輪の出場を認めると発表した。

 これにより、女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ (Yelena Isinbayeva)を筆頭とするほかの露陸上選手にとって最後の希望は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定に委ねられることになった。

 ロシア陸上競技連盟(ARAF)が国家ぐるみのドーピング問題で国際競技会への参加を禁止され、来月のリオ五輪では同国陸上選手の参加が暗雲に包まれているなか、IAAFはクリシナ選手だけに出場資格を与えた。

 IAAFは声明で「IAAFのドーピング審査機関(Doping Review Board)は本日、女子走り幅跳びのダリア・クリシナ選手に対して例外措置を適用し、中立の立場で国際大会に出場させることで合意した」と述べると、「個人資格で五輪に出場するための例外措置を模索して、136人のロシア選手から申請があった」と発表。すると、露モスクワ(Moscow)では即座に反発の声が上がった。

 クリシナのリオ五輪参加については、大会を直前に控えてドーピング問題の最前線に立たされている国際オリンピック委員会(IOC)から正式認可を得ることが条件となっている。

 ロシア五輪委員会の法務部の責任者を務めるアレクサンドラ・ブリリアントバ(Alexandra Brilliantova)氏は、国営タス通信(TASS)に対して「すべての選手は却下された。ただしクリシナを除いて」と語った。

 個人資格での参加申請を却下された選手のなかには、女子棒高跳びの金メダリストであるイシンバエワや、男子110メートルハードルの世界王者セル ゲイ・シュベンコフ(Sergey Shubenkov)も含まれており、ロシアを拠点とする両選手のトレーナーもこの事実を認めている。

 渦中のARAFはクリシナ以外の選手が却下されたことについて猛反発しており、「当連盟はクリーンな選手の権利のために闘い、CASの裁定を待つことにする」と声明で述べている。

 現在もリオ五輪への出場を望んでいるイシンバエワとシュベンコフら68人の露陸上選手は、最後の手段としてCASが資格停止処分を覆すことに希望を託している。

 CASの裁定は、リオ五輪が開幕する2週間前の今月21日に下される。(c)AFP/Max DELANY