【7月10日 AFP】ツール・ド・フランス(2016 Tour de France)は9日、第8ステージ(ポーからバニェール・ド・リュション、184キロメートル)が行われ、チームスカイ(Team Sky)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)がステージ優勝を飾るとともに、総合首位に浮上した。

 前回王者のフルームは下り坂のアタックで多才さを披露し、マイヨ・ジョーヌ(イエロージャージー)を獲得した。

 険しい上り坂での強烈なアタックで知られるフルームだが、峠を上り切って残り約16キロで向かえた下り坂でスピードを上げて集団を抜け出すと、ライバル達の度肝を抜いた。

 フルームは、サドルではなく自転車のフレームに腰を下ろして空気抵抗を減らすと、さらにはその状態でペダルを激しくこぐという珍しいテクニックを見せつけ、解説者やファンまでをも驚かせた。

 このアタックに集団の13人は誰ひとりとして反応できず、フルームはゴールで2位以下に13秒差をつけた。2位にはエティックス・クイックステップ(Etixx-Quick Step)のダニエル・マーティン(Daniel Martin、アイルランド)、3位にはカチューシャ(Team Katusha)のホアキン・ロドリゲス(Joaquim Rodriguez、スペイン)が入った。

 総合争いで首位に立ったフルームは、同2位につけるオリカ・バイクエクスチェンジ(Orica BikeExchange)のアダム・イェーツ(Adam Yates、英国)、同3位のロドリゲスに18秒差をつけている。

 フルームは、「予定されていたものではなかった。上りでのアタックがうまく行かなかったから、下りで試してみようと思った。彼ら(他チームの選手)は僕らに張り付いていたから、下り坂で行ってやろうと決めたんだ。はまったね」とコメントした。

 フルームと総合争いをするとみられているモビスター・チーム(Movistar Team)のナイロ・キンタナ(Nairo Quintana、コロンビア)も13秒差でフィニッシュし、総合では23秒遅れの6位につけている。

 一方、2度の大会制覇を誇るティンコフ(Tinkoff)のアルベルト・コンタドール(Alberto Contador、スペイン)は、大会序盤の落車による負傷を抱える中、フルームから1分41秒遅れでゴールを迎え、総合では3分以上の差を広げられている。(c)AFP