【7月9日 AFP】米国務省は8日、露モスクワ(Moscow)で米外交官がロシア人警官から暴行を受けたことへの報復措置として、米国駐在の露外交官2人を国外追放したと発表した。

 モスクワでは米外交官とその家族への嫌がらせや脅迫が増加しており、米政府では組織的な運動とみて、既にロシア側に苦情を申し立てたという。

 ジョン・カービー(John Kirby)国務省報道官によると、6月6日に米外交官の男性1人が在モスクワ米大使館に入ろうとした際、身分証明を済ませた後にロシア人警官から暴行を受けた。「この攻撃への対抗措置として、6月17日に露外交官2人を国外追放処分とした」という。

 カービー報道官はロシア人警官の行動について「いわれのない暴行であり、米政府職員の安全を脅かすものだ。ロシア側はこの警官が身元不明の人物から米大使館を守ろうとしていたと主張しているが、それは真実ではない」と述べた。

 さらにカービー報道官は、ロシアの治安当局が「米大使館員に対する嫌がらせ(ハラスメント)を強め、米国の外交・大使館業務を妨害しようとしている」と批判。米政府が内々にハラスメントをやめるよう露政府に「強く要請した」ことも明らかにした。

 暴行された米外交官の容体については、カービー報道官はコメントを拒否した。

 米紙ワシントン・ポスト(The Washington Post)は先月、露治安当局と情報機関が米大使館員に嫌がらせ行為を行っていると報道。米外交官や家族の後をつけたり、招待されていないイベントに出席したり、報道機関に金銭を支払って米国に否定的なニュースを報じさせたりしていると伝えた。

 同紙によると、複数の米外交官の滞在先で、夜間に何者かが侵入して家具を動かす、照明をつける、居間のカーペットに排便するなどしたという。また、米当局者の証言として、露情報局員が米大使館付き武官のモスクワ市内の自宅に侵入し飼い犬を殺害したとも報じている。

 この記事を受けてロシア政府は、米政府が露外交官に嫌がらせをしていると非難し、ロシア側はその報復を行っているだけだと反論していた。米政府はこの主張を事実無根としている。(c)AFP