【6月21日 AFP】映画『スター・トレック(Star Trek)』でチェコフ(Chekov)役を演じた俳優、アントン・イェルチン(Anton Yelchin)さん(27)の死亡事故をめぐり、事故車両がリコールの対象となっており、運転手が離れた際に動き出してしまう恐れがあったことが20日、明らかになった。

 イェルチンさんは19日早朝、米カリフォルニア(California)州の自宅で、愛車のジープ(Jeep)グランドチェロキー(Grand Cherokee)とれんがでできた郵便受けの間で押しつぶされて死んでいるところを、友人たちによって発見された。

 当局は、傾斜のある私道で降車したイェルチンさんの方向に車両が動いたとみている。

 米道路交通安全局(NHTSA)は2月、グランドチェロキーを含む一部車両について、運転者がシフトレバーをパーキングポジションに入れて停止させたと「思った」後で動きだす恐れがあることを指摘しており、100件以上の事故をこの問題と関連付けた。

 製造元の自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)USは4月、この問題に対処するため、車両数十万台のリコールを発表している。

 しかしFCA USによると、この問題への恒久的な対策はなく、運転者が意図したとおりにパーキングポジションに入っているかを再確認するよう車両の所有者に求めたという。

 このギアの問題をめぐってNHTSAは、「運転者がシフトレバーが『パーキング』に入っていると思い込み、サイドブレーキを引かずに降車すると、車と接触したり、負傷したりすることがある」と指摘している。

 これまでのところ、この問題で死者は出てないというが、骨折をはじめ、入院を必要とする負傷事故はいくつも報告されている。

 FCAは声明を発表し、「この悲劇の原因を推測するのは時期尚早」としながら、事故原因について調査中と述べた。(c)AFP/Frankie TAGGART