【6月19日 AFP】男子テニス、エイゴン選手権(AEGON Championships 2016)の決勝カードがアンディ・マレー(Andy Murray、英国)対ミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)となり、イワン・レンドル(Ivan Lendl)氏とジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏による男子テニス史上最高に熱いライバル関係が再燃することになった。

 マレーと再タッグを組んだレンドル氏と、ラオニッチにコーチとして招へいされたマッケンロー氏は、1980年代から90年代にかけて激しく火花を散らした。今回の決勝では代理戦争の形にはなるものの、最後の対戦から24年ぶりとなる対決が実現する。

 両者は1980年から1992年までに通算36回対戦し、戦績はレンドル氏が21勝を記録している。なかでも2セットダウンから逆転優勝を飾った1984年の全仏オープン(French Open)は今でも語り草だ。

 そうした激しい戦いを通じて2人は敵対心を燃え上がらせ、マッケンロー氏は自伝のなかで、レンドル氏を「控えめに言ってもすごく変なやつだ。物腰は風変わりでとげとげしく、ガキ大将のようなところと子供っぽさを併せ持った男」とまで評している。

 その仲の悪さも最近はだいぶ解消されてきているようだが、それでも、氷のようなレンドル氏と、感情むき出しのマッケンロー氏という2人の対象ぶりを考えれば、決勝ではコート脇のコーチに多くの視線が注がれることになるだろう。

 四大大会(グランドスラム)優勝8回の実績を誇るレンドル氏は、かつてはマレーを2つのグランドスラム優勝とロンドン五輪の金メダルに導き、先日2年ぶりにコーチへ復帰した。

 近年のテニス界では、レンドル氏や世界ランキング1位に君臨するノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)を指導するボリス・ベッカー(Boris Becker)氏らが指導者として成功を収めている。グランドスラム優勝7勝のマッケンロー氏も刺激を受けたのか、コーチとしてこの世界に足跡を残すべく、ラオニッチのチームに加わることを決めた。

 すると、彼の明るさは早くも好影響をもたらしたようで、ラオニッチは自身初となるエイゴン選手権の決勝に駒を進めている。マッケンロー氏とレンドル氏は、ライバル関係の晩年にあたる26年前、この大会の準決勝で顔を合わせており、当時はレンドル氏が勝利を収めた。

 しかし、マレーはこの話題に深入りすることを避け、「僕が明日対戦するのはミロスだ。ジョンとプレーするわけじゃない。イワンがコートで僕の隣にいるわけでもない」と語った。

「もちろん、コーチはボックスに入るし、試合に向けた準備を全力で手助けしてくれる。だけど、コートに立つのは僕とミロスだけだ。コートに出たときにどうプレーするかは僕ら次第だ」

「勝負の場面で僕らの代わりに2人がサーブを打つことはできないし、ブレークポイントで2人がリターンを打つこともできない」

 マレーが19日の決勝に勝利すれば、マッケンロー氏らを上回る最多5度目の優勝を果たすことになる。(c)AFP/Steven GRIFFITHS