【6月2日 AFP】「監督者」のバッジを示し、ボランティアのリーさんは禁煙条例違反者のにおいを追う。中国の北京(Beijing)市が同国では過去に例のない厳格な禁煙条例を施行してから、1日で1年が経過した。

 リーさんは33歳の芸術教授。オフィス街をパトロールしながら、「われわれは敏感です。誰かが喫煙していれば、そのかすかなにおいで分かります」と話す。仕事の傍らに青いベストをまとったボランティアのリーダーとして喫煙者を取り締まり、さらには違反を認めた文書を書かせて当局に提出している。

 中国の喫煙人口は世界最大。推計では、成人全体の28%、成人男性の半数が日常的に喫煙をしているとされる。世界保健機関(WHO)によると、中国では喫煙に関連した疾病で年間100万人が死亡しているほか、受動喫煙が原因で死亡する人も毎年約10万人に上るという。

 北京市は昨年6月、事務所やレストラン、ホテル、病院などの公共の場所での喫煙を禁じる条例を施行し、違反者には罰金を科すこととした。

 喫煙を排除できない企業は最大で1万元(約16万6000円)の、喫煙者自身は200元(約3300円)の罰金が科せられる。また、屋外でのたばこ広告は禁止された。

 中国では法の順守が徹底されないことが多く、条例にも懐疑的な見方が多かった。しかし専門家は、運用体制は不完全なものの、おおむね効果があがっていると評価している。