【6月2日 AFP】(更新)国際ボクシング協会(AIBA)は1日、スイスのローザンヌ(Lausanne)で臨時総会を開き、リオデジャネイロ五輪でプロ選手の参加を認める決定を下した。

 歴史的な決定は投票で行われ、賛成88票、反対0票、棄権4票と、賛成が95%に達した。

 とはいえ、プロ選手が今から予選に参加するのは時間的に無理があるため、元ヘビー級王者のウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)といった大物がリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のリングに上がるとは考えにくい。

 AIBAの呉経国(Ching-Kuo Wu、ウー・チンクオ)会長は、今回の決定が「第一歩」だと表現すると、リオで実施される28競技の中で、プロ選手の参加を認めていなかったのはボクシングだけだと指摘し、プロ解禁を熱烈に支持した。

 五輪のボクシング競技では、近年さまざまな改革が行われており、2012年のロンドン五輪では女子の部を採用。リオではヘッドギア着用が廃止になることも決まっており、プロ解禁は一連の変更に続く決定となった。

 賛成派はバスケットボール競技を例に出し、バルセロナ五輪のプロ解禁を契機に、男子バスケが五輪有数の人気競技に成長したことを挙げ、自分たちの案の正当性を主張した。

 英国のアミール・カーン(Amir Khan)もこの決定を歓迎し、両親の出身地であるパキスタン代表として、五輪に出場したいと考えていることを明かした。

 その一方で、プロ解禁には納得していない人も多く、元メダリストや世界王者の中からも、反対の声が絶えない。

 元ヘビー級王者のレノックス・ルイス(Lennox Lewis)氏は「不合理」と一蹴。同じく元ヘビー級王者のマイク・タイソン(Mike Tyson)氏も先月、「ばかげた」や「愚かな」といった言葉で計画を断じ、「五輪のボクシングを金もうけの場に変えるためのもの」と話していた。

 五輪のボクシングには、プロを目指す選手の登竜門としての長い歴史がある。モハメド・アリ(Muhammad Ali)は、カシアス・クレイ(Cassius Clay)時代に出場した1960年のローマ五輪で金メダルを獲得し、その後プロで輝かしいキャリアを築いた。

 AIBAはこの後、薬物検査の方針に関する審査を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が満足する回答を示さなくてはならない。リオ五輪をめぐっては、薬物違反に関連した醜聞が相次いでおり、IOCは、クリーンな大会の実現に向けて奮闘している。

 またAIBAも、協会のこれまでの検査が英国の風刺雑誌「プライベート・アイ(Private Eye)」から批判される立場にある。同誌は世界反ドーピング機関(WADA)の報告として、AIBAがここ3年はほとんど、さらにはリオ五輪までの1年間はまったく、競技外(抜き打ち)検査を実施していないと報じている。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU