【5月25日 AFP】米国の100万人以上を対象とした10年に及ぶ調査に基づく研究で、50歳未満の人々の間で、大腸がんが増加傾向にあるとの結果が24日、発表された。この年齢グループでは、がんが進行した段階で診断されるケースが多いことも分かった。

 調査期間の10年間で、50歳未満のグループでは大腸がんの患者数が11.4%増加していた。新規患者が毎年約136人発生した割合となる。一方、大腸がん全体の罹患率は近年、減少傾向にあり、
、50歳以上でも同じ期間内で罹患率は2.5%減少していた。

 論文の主著者である米マウントサイナイ・ウエスト病院(Mt. Sinai West Hospital)のエリー・サットン(Elie Sutton)研究員は「50歳以上の大腸がんに対処するためには、医療制度内で患者の意識向上やスクリーニング検査の拡充などをはじめとする数多くの取り組みがされている一方で、通常は大腸がんの危険性はないと考えられている50歳未満の人々で、このがんと闘うためにもっと多くのことをする必要があることを、今回の研究結果は示している」と語った。

 またサットン氏は、50歳未満のグループの大腸がん罹患(りかん)率が「上昇傾向にあることだけでなく、若くして診断されたこのグループでは、がんの後期(ステージ3や4)で診断される割合が高いことが分かった。これは非常に憂慮すべき事態だ」と続けた。

 このように大腸がんは50歳未満の年齢層で増加傾向にあるが、患者の圧倒的多数は依然として50歳以上で発病していると医師らは指摘している。

 大腸がんは、米国で患者数が3番目に多いがんで、2015年の新規患者数は13万2000人以上に上っている。また、がんによる死亡原因では、肺がんに次いで2位となっている。

 研究成果はカリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)で開かれた消化器関連の学術会議「米国消化器病週間(Digestive Disease WeekDDW)」で発表された。(c)AFP