【5月12日 AFP】タックスヘイブン(租税回避地)を利用した節税実態を暴いた通称「パナマ文書(Panama Papers)」に、オーストラリアのマルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)首相の名前が記載されていることが12日分かった。与野党の接戦が予想される7月2日の総選挙に向けた選挙戦の最中に発覚した一件だけに、首相にとっては痛手となりそうだ。

 ターンブル首相は銀行家出身で、富豪としても知られる。今回、パナマ文書の流出元であるパナマの法律事務所モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)が1990年代に設立した英領バージン諸島(Virgin Islands)の企業、スター・テクノロジー・サービス(Star Technology Services)の元役員だったことが、豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(Australian Financial Review)の報道で明らかになった。

 これに先立ち今週、20万社を超える秘密オフショア会社に関する情報がインターネット上に公開されていた。

 タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーや財団、信託の利用自体は合法な場合も多く、ターンブル首相も違法性はなかったとの認識を示している。

 首相は選挙遊説先のメルボルン(Melbourne)で記者団に対し、「記事でも認められているように、不正行為を示すものは一切ないと言わせてもらいたい」と述べ、当該企業については「豪上場企業の完全な子会社だった」と説明した。(c) AFP