【4月29日 AFP】女子テニスの元名選手マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova、チェコ)氏は28日、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が「女王」であることに変わりはないとしながらも、今季終了までに世界ランク1位の座から陥落したとしても驚かないとの見解を示した。

 WTAツアー選手権(BNP Paribas WTA Finals Singapore)のプロモーションでシンガポールを訪れている59歳のナブラチロワ氏は、女子テニスの競争が激しさを増していることを喜んでいると語った。

 ナブラチロワ氏は「現時点でセレーナに大きな強敵はいませんが、今年はたくさんの選手が彼女を打ち負かしています」とコメント。「今後の予測は難しいですね。ここ数年間はセレーナが1位でシーズンを終えているとはいえ、今年はどうなるか分かりません」

「セレーナが現在のリードを保つのは難しいでしょうが、女王であることに変わりません」

 昨年8月のウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2015)以来、セレーナは優勝から遠ざかっており、四大大会(グランドスラム)通算18勝を誇るナブラチロワ氏は、グランドスラム3勝を挙げる輝かしい昨シーズンを過ごしたセレーナには重圧が増していると感じている。

「ほかの選手との差は縮まってきていますし、これからさらに追いつかれるでしょう。セレーナは昨年、グランドスラムで3勝しているので多くのポイントを守る必要があります」

「不振に陥っているというわけではありません。立っている場所が高すぎて、とどまり続けるのが難しいというだけのことです。彼女が終わりだと書くのは時期尚早です」

 34歳のセレーナは昨季、年間グランドスラム達成を射程にとらえていたが、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2015)ではロベルタ・ビンチ(Roberta Vinci、イタリア)に敗れ、準決勝敗退に終わった。

 今年1月に行われた全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2016)でも決勝でアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)に敗れると、BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2016)は決勝でビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)の前に屈し、マイアミ・オープン(Miami Open 2016)では4回戦でスベトラナ・クズネツォワ(Svetlana Kuznetsova、ロシア)に敗れている。

 それでもナブラチロワ氏は、セレーナがグランドスラムのシングルスで歴代最多勝利記録を更新する可能性は高いとしている。グランドスラム通算21勝のセレーナは、シュティフィ・グラフ(Steffi Graf)氏が持つオープン化以降のグランドスラム最多勝利記録まであと1勝としており、マーガレット・コート(Margaret Court)氏の史上最多24勝にもあと3勝まで迫っている。

「とにかく、今はグランドスラムですね。周囲が注目しているのは記録へのカウントダウンです。出場するたびにチャンスが訪れ、記録達成の可能性も高まります。24勝まで、まだ先は長いですが」

(c)AFP