【4月29日 AFP】南極のペンギンがジェイミー・バーディー(Jamie Vardy)のレプリカユニホームを着ない限り、一番遠くからレスター・シティ(Leicester City)に声援を送るサポーターは、ニュージーランド人のロッド・デリスル(Rod de Lisle)さんと考えて差し支えないだろう。

 1万8500キロ離れた場所で、実に40年以上もレスターへの忠誠を誓い続けるデリスルさんは、ファンをやっていて、楽しいよりもつらい思いをすることの方が多かったと正直に認める。

 ところが、今季のレスターは違う。チームは予想外の快進撃を見せ、プレミアリーグ制覇という、スポーツ界有数の栄えあるトロフィーの獲得へ迫っている。それでもデリスルさんは、いまだにそれを信じられずにいる。

「うそみたいです。昨季は、なんとか降格を免れるような状態だったんですから、信じられないシーズンです」とデリスルさんは話す。

 開幕前、優勝オッズ5000倍の超大穴だったレスターは、バーディーを筆頭に、シーズン前はファン以外にほとんど知られていなかった選手たちの頑張りで、おとぎ話のハッピーエンドまであと一歩のところにたどり着いた。

 デリスルさんはイングランド(England)を訪れ、レスターのシーズン最後の2試合を、現地で観戦する予定だ。チームは3節を残して2位に勝ち点7差をつけており、次節のマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)戦に勝利すれば、優勝が決まる。

 それでも、長い苦難の時を過ごしてきたデリスルさんは、喜ぶのはまだ早いと慎重な姿勢を崩さず「全てが最悪の方へ転がって、いつものレスターのシーズンだったな、ということになる可能性だってある」と話している。

 ラグビーが圧倒的な人気を誇るニュージーランドで、サッカーファンはかなり珍しい。いたとしても、ユナイテッドやアーセナル(Arsenal)、リバプール(Liverpool FC)といったプレミアの名門のファンがほとんどだ。

「チームが強くなりだしたら、ほんの少しだけいるレスターサポーターが、外へ出てきてくれるようになりました。それでも人数はわずかで、ファン同士の距離も遠い。サポーターズクラブのニュージーランド支部を作るなんてとんでもない。事務所なんか、電話ボックスで事足りてしまいますよ」