【4月20日 AFP】23日に没後400年を迎える英の伝説的劇作家、ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)全集の希少な初版本が、競売大手クリスティーズ(Christie's)によって来月競売に付されるのに先立って19日、公開された。

「ファースト・フォリオ(First Folio)」と呼ばれるこの全集初版本は、シェークスピアの死から7年後の1623年に出版された。生前には一切世に出ていなかった「マクベス(Macbeth)」やその他17作品が収められており、この初版本がなければこれらの作品が永遠に失われていた可能性もある。

「ファースト・フォリオ」は約750冊発行されたが、その3分の1程度しか現存していない。今月に入り、英スコットランド・ビュート(Bute)島で新たに1冊が発見されたと発表され、研究者らは喜びに沸いた。

 クリスティーズはこの初版本の落札価格を、最低でも80万ポンド(約1億3000万円)と予想している。オークションでは、1632年、1664年、1685年にそれぞれ出版された全集も同時に出品されるという。

 同社の書籍・写本部門の総責任者マーガレット・フォード(Margaret Ford)氏は、「シェークスピアの戯曲が集められた初版本を手にし、その計り知れない影響力を改めて思うにつけ、深い感動を覚える」と話している。

 この初版本は、来月25日に英首都ロンドン(London)で競売にかけられるのに先立ち、米ニューヨーク(New York)とロンドンでも展示されることになっている。

「ファースト・フォリオ」には36作品が収載されており、うち18作品はこの初版本で初めて発表された。この本がなければ消えていた可能性のある作品には、「マクベス」に加え、「テンペスト(The Tempest)」、「じゃじゃ馬ならし(The Taming of the Shrew)」、「終わりよければすべてよし(All's Well that Ends Well)」、「冬物語( A Winter's Tale)」などがある。

 シェークスピアの没後ちょうど400年となる23日には多数の公演や展覧会が予定されている他、出生地のストラトフォード・アポン・エイボン(Stratford-upon-Avon)にある墓のそばでは、ろうそくを夜通しともしての追悼式も開かれることになっている。(c)AFP