【3月18日 AFP】ラグビーイングランド代表のエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)は17日、シックスネーションズ(Six Nations Rugby 2016)での全勝優勝(グランドスラム)を狙うチームを、ウェールズが間接的に揺さぶろうとしていると語った。

 シックスネーションズの大会役員は16日、第4節のウェールズ戦でサムソン・リー(Samson Lee)に向かって「ジプシー少年」と暴言を吐き、さらにはロブ・エバンス(Rob Evans)を殴打したイングランドのPRジョー・マーラー(Joe Marler)に対し、処分しない決定を下した。このためマーラーは、19日に行われるフランスとの最終戦での出場が可能となった。

 これを受けてウェールズ・ラグビー協会(WRU)は、マーラーへの処分が無いことに「驚いた」と声明を発表し、「ラグビー界は、人種差別的な言葉を使うのにふさわしい場ではないというわれわれの考えを固持する」とコメントしている。

 ジョーンズHCはこの声明が発表された後に記者会見に臨み、ウェールズの声明は、ただグランドスラム達成を妨害しようとする工作だと語った。

 英バグショット(Bagshot)にある練習拠点で会見に臨んだジョーンズHCは、「誰もがイングランドを全勝優勝させないよう躍起になっている。全勝を達成できなければウェールズは喜ぶだろう。彼らは、われわれが準備をする間に、動揺させようとさまざまな手を尽くしてくるだろう」と英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に語った。

 WRUの声明が、イングランドの13年ぶりのグランドスラム達成を邪魔しようとするものだと、本気で考えているかとスカイ・スポーツに問われたジョーンズHCは、「もちろん本気だ」と応じた。

「そうでなければ、なぜこんなこと(ジョーンズHCの会見の直前に声明を発表)をする?」

「一度決定が下されれば、それを受け入れる。決定が間違いなどとは言わない。それでも進んでいくんだ。でも、ウェールズはそうはしないと決めたわけで、その理由は一つしかない」

 マーラーはフランス戦ではベンチに下がり、マコ・ヴニポラ(Mako Vunipola)が先発に昇格する。しかしながらジョーンズHCは、このメンバー変更は戦術的なものであり、懲罰的なものではないとしている。

 マーラーをすでに叱責しているジョーンズHCは、「週末にわれわれが求めるプレーのため(の変更)だ。私はまったくもって彼を罰してはいない」と付け加えた。(c)AFP