【3月8日 AFP】(更新)韓国の情報機関、国家情報院(NIS)は8日、北朝鮮が4度目の核実験後にサイバー攻撃を強化し、多数の韓国政府高官のスマートフォン(多機能携帯電話)をハッキングしていると主張した。

 NISは声明で、北朝鮮が2月下旬から3月初旬にかけて、数十人の韓国政府高官のスマートフォンから電話番号やメッセージを盗んだと述べた。また、インターネット・バンキング用のセキュリティー・ソフト提供を専門とする大手ソフトウエア企業のサーバーも攻撃されたと述べている。

 NISの声明は、北朝鮮が1月6日に行った4度目の核実験に続いて「わが国(韓国)のサイバースペースに対する一連の攻撃を開始した」とし、韓国の銀行のネットワークに対する大規模なサイバー攻撃の準備だと思われると主張している。さらに「そのままにしておけば、インターネット・バンキングのシステム停止や意図しない預金の移動など、金融に大規模な混乱が生じていたはずだ」としている。

 また北朝鮮のハッカーは韓国の地方の鉄道会社2社の従業員らにフィッシングメールを送付し、列車運行システムへのサイバー攻撃を可能とするパスワードを盗もうとしたと、NISは述べている。

 NISでは政府省庁や公的機関に高度の警戒を維持するよう呼び掛けている。

■新たな対北朝鮮制裁を発表

 同日、韓国政府は一連の新たな北朝鮮制裁を発表した。新しい制裁措置では北朝鮮の多くの個人や機関がブラックリストに挙げられており、また北朝鮮の港湾に以前停泊していたすべての船舶に対して、韓国領海への進入が禁じられた。

 また国民に対し、海外で北朝鮮系の飲食店の利用を慎むよう呼び掛けてもいる。韓国国務調整室の李錫駿(イ・ソクジュン、Lee Suk-Joon)室長は「北朝鮮国外にある飲食店のような施設は、北朝鮮にとって外貨を獲得する手段の一つであるため、こうした施設の使用を避けるようにしてほしい」と述べた。

 韓国政府の推計によれば、北朝鮮は12か国ある約130軒の飲食店を通じ、毎年1000万ドル(約11億円)前後を獲得している。韓国国務調整室の李氏は、こうした外貨の「最終的な使途は大量破壊兵器だ」と述べた。(c)AFP