【3日5日 AFP】2020年に行われる東京五輪組織委員会の武藤敏郎(Toshiro Muto)専務理事がAFPのインタビューに応じ、東京は仏検察による汚職疑惑の捜査などの「ハードル」を乗り越えられると自信を見せた。

 東京五輪をめぐっては、昨年7月、メーン会場となる新国立競技場(New National Stadium Japan)の建設費用が2000億円以上に膨らんだことを受けて、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が計画のゼロベースでの見直しを指示したことを皮切りに、失笑ものの恥ずかしい失態が続いている。

 その後には、大会エンブレムの盗作疑惑が騒動となり、最終的に当初のエンブレムが使用中止に追い込まれると、先日は2016年大会と2020年大会の招致レースで不正が行われた疑いがあるとして、フランスの検察当局が東京を捜査していることが明らかになり、批判がさらに高まりかねない状況となっている。

 それでも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)の専務理事と事務総長を務める武藤氏は、「準備は順調に進んでいます。大事なのは、ハードルを一つ一つ越えることです」と話した。

 日本銀行(BOJ)の副総裁を務めた経験もある武藤氏は、不正疑惑について「東京としては、理解に苦しむ話だと考えています。われわれは、東京が最も優れた招致活動を行ったからこそ、招致に成功したのだと理解しています」と話した。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長も、「これまでのところ証拠はない」と強調し、東京五輪、さらにリオデジャネイロ五輪をめぐる疑惑を否定している。

 こうしたイメージの悪化に加えて、開催地に決定して以来、コストの試算が天井知らずに増加していることも問題となっている。開催の費用総額は、当初の計画の6倍、リオ五輪と比べても3倍の150億ドル以上(約1兆7000億円)になるとの試算もある。

 この点について武藤氏は、「もちろん、最初に立てた計画からは少しずつ増えていきます。物価の上昇がありますし、計画変更もあって増えていくのは間違いありません。しかし、それがいくらになるかというのは決まっていないんです。五輪が間近にならないと、正確な数字は出てこないわけなんです」と話した。

「日本というのは建設単価が世界的に見て高いんですね。そういう中で、私は極めてリーズナブルな予算だと思います。毎年のように予算を見直して抑え込んでいきます。財政負担があまり大きくならないように、国民が納得できるものであるように、予算を抑制していきます」

(c)AFP/Alastair HIMMER