【3日4日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で、ドライバーを致命的な負傷から守るためにテストされた新たな安全装置に対して、ドライバーの評価が割れている。

 昨年、F1ドライバーのジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)選手、インディカードライバーのジャスティン・ウィルソン(Justin Wilson)選手が命を落としたことを受け、モータースポーツ界では現在、ドライバーの命を守る新たな安全装置の導入が強く求められている。

 この流れを受けて、F1ではスペイン・バルセロナ(Barcelona)で現在行われている今季2回目の合同テストで、「Halo」と呼ばれる安全装置をフェラーリ(Ferrari)のキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)がテスト走行で使用した。

 Haloはコックピットの周りを三点で囲うカーボン製の支柱で、ライコネンは合同テスト3日目の1周目にこれを装着。その後に装置を外してから、ここまでの合同テストで最速となるタイムを出した。

 Haloは、今月下旬から始まる新シーズンでは採用されないが、F1委員会(The F1 Commission)は先週会合を持ち、2017シーズンの導入を目指す案で合意した。

 メルセデスAMG(Mercedes AMG)のニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)は「安全性を大幅に高める」と装置に好意的で、Halo設置の規則化を誰よりも声高に訴えている。

 ロズベルグは、「個人的な意見では、安全性の面で大きな前進があったことを示す装置だ。ここ何年か、僕たちは重大事故を経験してきた。Haloがあれば救えた命もあったかもしれない。だから絶対に必要だ」と話した。

 一方で、見た目が美しくない上、安全性を高める能力にも疑問が残ると、導入に反対するドライバーもいる。3冠王者で、ロズベルグのチームメートでもあるルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)もその一人だ。

 ハミルトンは自身のインスタグラム(Instagram)に、「頼むからやめてくれ!あれはF1史上最悪な見た目のモッド(追加パーツ)だ。安全性を追求してくれるのはありがたいが、これはF1だ。それに、今のやり方で何も問題ない」と書き込んだ。

 元F1ドライバーで、現在は解説者を務めるマーティン・ブランドル(Martin Brundle)氏も、自身のツイッター(Twitter)で「さまざまな面で、恐れていたよりもさらにひどいデザインだった」とつぶやいた。

 ただし、テスト導入を行ったフェラーリの広報は、今回使ったものは試作版で、完成版ではもっと洗練された形状になると強調している。

「これはフェラーリが作った仮の装置で、視界をテストするためのものです。完成版はマシンと一体化した、もっと美しい装置になるはずです。キミも、『視界の点では良好だ』と言っていました」

(c)AFP