■「金が目的ではない」

 中国代表は直近のW杯3大会で出場を逃している。唯一の出場となった2002年の日韓大会では3戦全敗に終わり、計9失点を喫した上に、一度も得点を奪えなかった。

 中国クラブによる爆買いは、増大する経済力や軍事力に釣り合ったレベルにサッカーを引き上げようとする国策の側面もある。習主席の野望は、中国ビジネス界の有力者の心をつかみ、サッカーへの投資は政治的な計算であることを公然と認めている。

 中国の大富豪・王健林(Wang Jianlin)氏が所有する大連万達集団(Wanda Group)は、アトレティコの株式20パーセントを取得しており、王氏は先日、「政府の指導部はサッカーに強い関心を持っており、スポーツ当局からのアプローチも複数回あった。だから私は、中国サッカー界への支援を申し出た」と明かした。

 昨年末には、政府系投資グループの中国メディアキャピタル(China Media Capital)が、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)の株式購入に4億ドル(約456億円)を投じている。

 作家で中国サッカーの著名なコメンテーターであるローワン・シモンズ(Rowan Simons)氏は、こういった熱狂が選手の市場価格高騰につながっているとの見解を示す。

「やりたい放題の爆買いは、主席のご機嫌をうかがう手段として巻き起こっているので、金が目的ではない。中国はこの極めて小さなマーケットにおいてはばか正直な新参者だ。だからやり手の代理人と効果的に交渉する方法を持ち合わせていない」