【2月18日 AFP】大きな脳を持つ哺乳動物は、賢さで他の動物に勝る傾向があるが、一方で絶滅リスクも高いとの研究結果が17日、発表された。

 脳の灰白質の多さが何らかの代償を伴うことは、科学者らの間で長年知られていた。例えば、大きな脳に血液を供給することは、多大なエネルギーを必要とする。

 脳の大きさと知能の間に直接の相関関係は存在しないとしても、神経細胞の集合体が大きいことは通常、有利な特質とみなされる。ヒトの脳は動物界で最大ではない。これは体の大きさとの比率で見ても同様だ。科学者らによると、容積の大きな頭蓋骨を持つ哺乳動物は、寿命が長い傾向もあるという。

■巨鳥ドードーや恐竜と同じ運命

 このたび、米スタンフォード大学(Stanford University)のエリック・アベルソン(Eric Abelson)教授は、脳の大型化と絶滅リスクとの間に関連がある可能性があるとの推論を立てた。

 この仮説を検証するため、アベルソン教授は、アメリカ大陸に生息する160の異なる種に属する動物の博物館標本1650体あまりを調査した。

 調査では、げっ歯類ほどの小型のものからバッファローほどの大型のものまでの、さまざまな動物の頭蓋骨と体の大きさが測定された。水生動物は調査の対象に含まれなかった。

 次に、国際自然保護連合(IUCN)が維持している世界の絶滅危惧種リストで、それらの動物がどのレベルに分類されているかを調べた。このいわゆる「レッドリスト」の分類は、絶滅の脅威のレベルに応じて区分されている。

 さらにアベルソン教授は、世界各地に生息する動物600種以上に関する一連のデータも調べた。

 調査の結果は驚くべきものだった。より大きな脳を持つ動物ほど、巨鳥ドードーや恐竜と同じ絶滅の運命をたどる危険性が高くなるという、明確な傾向が示されたためだ。

 米大陸では、体に対して、脳のサイズが相対的に大きな哺乳動物に、この関連性が特に顕著にみられたという。