【2月9日 AFP】脳振とうを経験したことのある成人は、その後数年間に自殺するリスクが経験していない人に比べて3倍以上高まる可能性があるとする研究論文が8日、カナダの医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(CMAJ)」に発表された。

 研究では、同国オンタリオ(Ontario)州で過去20年間に脳振とうを起こした23万5000人以上の医療記録を分析した。

 その結果、こうした患者がその後数年間に自殺するリスクが、一般の人々に比べて3倍高いとわかった。

 また、週末に脳振とうを起こした人が自殺するリスクは、平日に脳振とうを起こした人に比べ、3割程度高かった。週末に脳振とうを起こした人は、仕事中よりも余暇活動中に脳振とうを起こしたとみられる。

 論文著者であるトロント(Toronto)のサニーブルック・ヘルス・サイエンス・センター(Sunnybrook Health Sciences Centre)の医師で、臨床評価学研究所(ICES)の上級科学者でもあるドナルド・レデルメイヤー(Donald Redelmeier)氏は、「通常すぐに症状が解消することから、医師らは、脳振とうの影響や(脳振とうと)患者の病歴との関連性を過小評価している可能性がある」と指摘。「脳振とうの影響を長期にわたって観察することで、人の命を救える可能性がある。自殺は防止することができるからだ」と述べた。

 脳振とうを起こしてから自殺に至るまでの平均期間は約6年で、患者の平均年齢は41歳だった。過去に自殺未遂や入院、精神疾患などの病歴のない、都心部在住の男性である傾向が高かったという。(c)AFP