【1月14日 AFP】全米各地で後を絶たない銃乱射事件が、米国人の心を一段とむしばんでいる。事件を受けた心的外傷後ストレス障害(PTSD)の兆候は、生き残った人や犠牲者の遺族以外にも広がっているとして、専門家が警鐘を鳴らしている。

 米国では銃による暴力で毎年3万人前後が死亡しており、銃乱射事件も増加傾向にある。銃による暴力事件のデータを収集するウェブサイト「Gun Violence Archive」によれば、2015年に起きた銃乱射は330件と前年(281件)を上回った。コネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)からカリフォルニア(California)州サンバーナーディーノ(San Bernardino)郡まで、銃乱射は都市の規模を問わず国内のほぼ全域で起きている。

 米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)のメリット・シュライバー(Merritt Schreiber)教授(心理学)は銃乱射事件について、犠牲者、負傷者、救急隊員、遺族、その他の身近な人と数え上げていくと、「私たち全てに衝撃を与えている」と指摘する。

 年端の行かない子どもが無残に死んでいくというイメージから逃れるのは、難しくなる一方だ。とりわけ、企業や病院、さらには小学校でも、「アクティブシューター」と呼ばれる無差別殺傷事件に備えた訓練が定期的に実施され始めた影響が大きい。

 専門家らによると、その結果、不安や抑うつ、極度の疲労といったPTSDの症例が増えているという。米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)のジーン・キム(Jean Kim)教授(心理学)はニュースサイト「Alternet」で、「米国はPTSD大国になったのか?」と問い掛けた。