【1月11日 AFP】毎日、果樹園で孤独に穴を掘らされている――。北朝鮮で昨年身柄を拘束され、「国家転覆」の罪で無期労働教化刑(無期懲役に相当)に服役中の韓国系カナダ人牧師が、米CNNテレビとのインタビューで肉体労働刑の辛さを語った。

 韓国生まれのカナダ人、ヒョンス・リム(Hyeon Soo Lim)牧師(60)は昨年1月、中国から北朝鮮入りした後に北朝鮮当局に拘束された。北朝鮮最高裁は同12月、同国の政治体制や金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記を「悪意をもって中傷」した罪や、国家転覆を企てた罪などで、リム牧師に無期労働教化刑を言い渡した。北朝鮮側はリム牧師が全ての罪状を認めたとしている。

 インタビューは平壌(Pyongyang)にあるホテルの一室で行われ、「036」の番号が付けられた灰色の受刑服に坊主頭のリム牧師は、警護兵2人に両腕を抱えられて現れた。その後、警護兵は2人とも退室したが、北朝鮮当局の指示でインタビューは英語ではなく全て韓国語で行われたことから、当局が会話の内容を入念に監視していたとみられる。

 リム牧師はCNNに対し、「私はもともと肉体労働者ではないので、当初は(刑で科せられる)労働がつらかった」と語った。労働時間は1日8時間で、週6日、1人で収容所の果樹園に穴を掘らされているという。この施設内にはリム牧師の他に受刑者はいないという。

 定期的に健康診断があり、食事も1日3度支給される。だが、希望した聖書の差し入れはまだ認められていないという。

「毎日、祈りをささげている。南北が統一され、私のような境遇に置かれる人が二度と出ないようにとも祈っている」と、リム牧師は話した。インタビューは約1時間続き、終了後、再び警護兵2人がリム牧師を連れて去った。(c)AFP